知的障害者施設 4万ページの支援日誌
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そして悩める職員たち







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鍵つきトイレットペーパーホルダー/菜の花工房

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 第2集 そして悩める職員たち 





施設現場で働く職員たち。夢と理想は山ほど持っているけれど、実情は悩み

と矛盾に苦しむ毎日です。「なぜ? どうし

て?」と頭を抱えながら子どもたちのお世

話をしています。聖職と言われますが、私

たちも生身の人間です。時には愚痴をこぼ

し、時には腹を立てます。そんな悩める職

員たちの姿を笑ってください。そして、叱って

やってください。それでは、どうぞ。



第1話 子どもを追い詰めているのは貴方
第2話 喉元過ぎると忘れてしまう情けなさ
第3話 価値観や見解が違うとこうなる
第4話 そのつど言うことが違うと大混乱
第5話 笑って済まされない施設の常識
 

第6話 こだわりにこだわると深みにはまる 
第7話 怒らないと言って怒るのは嘘つき
第8話 本当は自分のためのナントカ療法 
第9話 誉めずに叱るだけだと保身に走る
 
第10話 同僚にうとまれてもなんのその


東京図書出版会 おねがい、ボクをみて!
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て!」(東京図書出版会)
で、お楽しみ下さい。 当サイ

ト掲載分に大幅追加して全75話収録しています。読み

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発行 東京図書出版会 定価【1300円】
ISBN978−4−86223−274−8
C0036


今月のイチ押し


●プライバシーの保護について
プライバシー保護のため、施設名や地名などが推測されるような表現は一切していません。また、掲載されているイラストは、すべて私自身が描いたものです。どうか、ご了承ください。

●A職員について

文中に必ず登場して皆さんの失笑を買っているA職員は実在しません。しかし、似たような場面は何回かありました。文中では、それらの失笑場面を反省と自戒を込めて、1人のA職員として表現しています。


【今週の筆者オススメショップ】
    


 




第1話 子どもを追い詰めているのは貴方

何をしてるのよ!知的障害のP君、今日は日曜日で何もすることがありません。仕方ないのでホールの隅に立って、自分の唾を指でクチャクチャと弄びながら、みんなの様子を眺めています。
 
そこへA職員が通り過ぎようとしてP君に声を掛けました。「P君、何してるの?」と。P君は自閉症で言葉がありませんので黙っていました。するとA職員は「何を黙ってるの?」と、さらに質問します。
 
P君はどうしてよいかわからず、顔色があやしくなってきます。するとA職員は「何よ、その顔。何か先生に文句あるの?」と言葉が荒くなります。言葉の苦手なP君は、A職員に外国語で何やら怒られているような気持ちになってきます。聞きたくありませんから、両手で両耳を押さえます。
 
自閉症には3つの認定基準というものがあります。つまり、強いこだわりがあり、言葉が不自由で、人間関係が苦手なのです。そこから行動予測不安が生まれ、自分の理解できる行動のみを繰り返そうとするのが、こだわり行動と言われるものです。
 
A職員は続けます。「だいたい何でこんな所に立ってるのよ!」と。自閉症の子どもさんのこだわり行動の一つに、お気に入りの場所と言うものがあります。たいていは、壁を背にできる所が多いようです。これも自己防衛の一つと思われます。それを見事に否定されてしまいました。P君のイライラが募ってきます。
 
そしてついに「あっち行って座りなさい!」とA職員に叱られました。P君は吠えます。そして自分の右手の甲を力一杯噛みながら、A職員に向かって行きます。P君は抗議しているのです。するとA職員は「誰か助けて〜、P君が暴れてる!」と悲鳴を挙げます。たくさんの職員がP君を取り囲みます。P君は絶体絶命です。
 
さて、皆さんはどう思われますか?P君は何か悪いことでもしていたのでしょうか?ぜひもう一度、最初からこのお話を読み返してみてください。そうです、P君は何も悪いことはしていません。なのに最後には職員に取り囲まれてしまいました。そして、次回のケース会議でP君の態度が問題提議されることになりました。
 
これはあってはならないことなのですが、結果的には何もしていない子どもを言葉で追い詰めてしまい、問題行動と言われるものを職員が誘発してしまうことがあります。得てして、このような職員は自分に非があるとは思っていません。「指導してあげただけなのに」と憤懣気味です。
 
さて、問題のケース会議です。ケース会議とは何でしょう。本来は子どもたち一人ひとりの能力や力を伸ばしてあげるために、私達職員は何をすれば良いのかが話し合われる場です。しかし残念なことに、職員の愚痴話の場になってしまうこともあります。
 
案の定、A職員がP君について様々な欠点を並び立てて、自分がどれだけ大変な目にあったかを声高に叫んでいます。その剣幕に他の職員も同調し始めています。これはいけません、なんとかしなくてはなりません。
 
まずA職員の不満をすべて吐き出させることにしました。途中で話を遮ると不満が残ります。最後までしゃべってもらいます。カウンセリングの定法ですね。それから他の職員の意見を聞きます。そして、もう一度A職員とP君のやり取りを他の職員に演じてもらって何度も再現します。ロールプレイングですね。
 
その様子を見ていたA職員は、P君を追い詰めたのは自分だと気づいたようで、言葉が出なくなりました。目が赤くなり涙が溜まっています。もう充分でしょう。でないと、今度は私がA職員を追い詰めることになりますから。(笑)

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今月のイチ押し



第2話 喉元過ぎると忘れてしまう情けなさ


ねえねえ、ペーパーが無いよ〜私が勤務していた施設では、利用者25人で一つのユニットを作り、5〜8人の職員が365日お世話をしています。一つのユニットが一つの建物を形成していて、それが12個ある大きな施設です。
 
一つずつの建物には浴室以外のすべての機能が備わっていて、それだけで生活できるものになっています。ですから、多動な子どもがいるユニットでは、外に飛び出していかないように入り口が施錠されていることが多いようです。これは、交通事故や不慮の事故を防ぐための安全対策ですので、仕方がありません。
 
しかし、冬になるとインフルエンザノロウィルスが流行します。入り口が施錠されて閉塞されたユニットでは、1人でも病人が出るとあっという間に蔓延してしまいます。
 
そのため、普段から子供たちの手洗いやうがい、ユニット内の消毒には最大の注意を払うわけです。特に冬場が近づくと、どこのユニットでも消毒に励みます。塩素系の消毒液を薄めて散布したり清拭します。
 
それでも病人は出てしまうのですから、ウィルスとは怖いものです。発熱、嘔吐、下痢、脱水、検温、診察、服薬、その他、職員は対応にてんてこ舞いになります。普段、消毒を怠っていたユニットは大慌てで消毒しますが、後の祭りですね。
 
インフルエンザもノロウィルスも、だいたい1〜2週間で終息します。すると、それまで必死にやっていた消毒がおろそかになっていくのです。疲れたためもあるでしょうが、これは問題です。
 
消毒は本来、防衛対策です。病人が出ないように消毒するわけですから、皆が元気な時から実施しなければ意味がないわけです。なのに流行が終息したからと消毒を止めてしまったら、再び罹患する恐れが出てきます。それでも「もう消毒しなくても大丈夫よ」とA職員に言われると、皆納得してしまうのです。案の定、再び病人が出現しました。
 
ここで話は変わります。第1集の第2話で紹介したように、トイレットペーパーを丸ごと便器に詰める子どもがいます。これは困るということで必死に対策を練ります。その結果、トイレットペーパーホルダーに鍵をつけることにしました。これでトイレットペーパーが丸ごと外せなくなりました。
 
このトイレットペーパーホルダーですが、トイレットペーパーを使い切ったら職員が随時、補填する約束だったのに、いつまでたっても補填されなくなりました。その結果、トイレットペーパーを便器に詰めることはなくなりましたが、子供たちはお尻を拭かずに出てしまうことになります。
 
当然、下着には便がついています。あちらこちらで便臭がします。それに気づいたA職員の声が響き渡ります。「だ〜れ、うんこつけてるのは?」と。次々と子どもたちの下着を調べては叱りつけています。叱られた子どもは半泣きです。お尻を拭きたくても、トイレットペーパーがないのですから、仕方ありませんよね。
 
さあ、皆さんはどう思いますか?いずれも、困った時には大騒ぎするのに、解決すると対応を怠ってしまう悪い例です。このようなことはたくさんあります。後になってから「だから言ったじゃないか」と責められても仕方がありません。
 
私たちは常に先を読み、そこに予想されるリスクを回避するための手立てを実施していくことが大切です。障害者施設にもリスクマネジメントは必要なのです。慌てて危機管理のマニュアルを作りますが、普段は読まずにホコリを被っていることが多いですね。
 
このマニュアル本、A職員なんかは「どこに片付けたかも忘れたわ」とうそぶいています。この人のリスクマネジメントは、いったい誰がするのでしょう?やっぱり私かな。嫌だなぁ。(笑)

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第3話 価値観や見解が違うとこうなる


また、ちらかしてる!職員による「おもちゃ戦争」と言うのがありました。べつに職員がおもちゃで戦争ごっこをするわけではありません。おもちゃを巡る激しい攻防があったのです。
 
小さい子どもさんのいるユニットには、たくさんのおもちゃがあります。おもちゃを入れる棚もあり、その数は大変な量です。就寝時には、その棚におもちゃを片付け、朝起きたらまた出してきて遊ぶわけですが、子どもたちはあっという間に全部出してしまいます。床一面おもちゃだらけです。
 
そこへA職員が出勤してきました。見るなり一喝です。「こんなにちらかして、全部片付けなさ〜い!」えっ?今出したばかりなのに?かくしてA職員がいる間は誰もおもちゃで遊ぶことができません。指をくわえてボーっとしています。
 
午後、遅出で私が出勤してきます。床にはおもちゃが一つもなく、子どもたちはうらめしそうに私の顔を見ます。「みんな、おもちゃを出して遊びなさい」と言うと、待ってましたとばかりにおもちゃを出し始めます。子どもたちの目は一気に輝き始めます。逆にA職員の目は曇っていきます。
 
私が勤務を終えて帰ろうとすると、子どもたちの表情が暗くなっていきます。入口のドアを開けて私が出て行くころには、後ろでA職員の声が聞こえます。「さあ、おもちゃはお終り。早く片付けなさい!」私が帰るのを待っていたようです。
 
子どもにとっておもちゃは大切なものです。健常児であろうと、障害児であろうと同じです。おもちゃは子どもの好奇心を満足させ、想像力を養うものです。絶対に必要なものです。と、私が主張するとA職員は反論します。「でも、この子たちはおもちゃをすぐに壊してしまう。大事にしようとしない。壊れた部品が危険だから片付けるべきでしょう?」と。
 
A職員の言い分には残念ながら一理あるのです。それは「壊す」ということです。良く言われる言葉に「健常児は積み木を重ねて創造します。障害児は積み木を倒して破壊します。」と言うのがあります。ですから、障害児の職業訓練には製造作業よりも解体作業の方が、たしかに得意な子どもが多いようです。
 
それでもおもちゃは大切です。おもちゃを取り上げられた子どもたちは、仕方なしに別のおもちゃを探します。何だと思いますか?
 
それは電気洗濯機などの家電製品です。洗濯機やテレビのスイッチをいじりまわす子がいます。電気掃除機にまたがって走り回る子もいます。車椅子をぶつけて倒したり、ソファでトランポリンのように飛び跳ねている子もいます。挙句には、トイレの便器で水遊びをする子もいます。そして、皆みんな壊してしまいます。これは必然的な流れです。
 
それが理解できないA職員は「この子ったら、便器で水遊びをするんですよ。とんでもない子だわ」と怒り心頭です。はてさて困ったものです。
 
A職員に問います。「貴女にも大切なおもちゃがあるでしょう?」と。すると「私は大人です。おもちゃなんかありません!」と、すごい剣幕です。いえいえ私は知っています。A職員は大の韓流ファン。韓国ドラマを夢中になって見ています。また、高価な指輪や衣装を一杯持っています。そして、友達としょっちゅう御馳走を食べに行ってますよ。これも言うなればおもちゃなのです。
 
心を満たし癒す物。それが有形であれ無形であれ、自分にとって大切なものならばおもちゃなのです。このような価値観の違いは話し合ってもなかなか理解しあえません。A職員と私の「おもちゃ戦争」はいつまでも続きます。子どもたちを守るための聖戦です。負けねえぞぉ!(笑)

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今月のイチ押し



第4話 そのつど言うことが違うと大混乱


だから言ったでしょっ!月水金の午後は入浴です。4人の職員で25人をお世話します。だいたい2時間くらいかかるでしょうか。入浴介助は大変です。施設での重労働と言えば、「食事と入浴と排泄」と言われるゆえんです。
 
2人の職員が脱衣室で着脱を介助します。後の2人が浴室で洗体の介助をします。なにしろ2時間かかりますから、介助度の高い人から先に入浴介助します。自分で歩けない車椅子の子や、自分で洗体できない重度の子などが先に入ります。
 
浴室用の車椅子に移乗して浴室に入ります。私が施設にいたころは、まだ浴室用の吊り下げリフトがありませんでしたから、職員2人で抱きかかえて湯船に入れてあげていました。おかげで、いつも腰が痛かったものです。
 
さて、脱衣室の方から甲高いA職員の声が聞こえます。「慌ててするから転ぶのよ!」と、子どもを叱っている様子です。気になるので見に行きました。問うと、Q君がズボンを脱ぐ時に慌てたのでバランスをくずして転倒し、頭を壁にぶつけたとのこと。他の職員がQ君の頭をしきりになでていました。Q君は泣きべそをかいています。「だから、落ち着いてゆっくりやりなさいって言ったでしょう!」とA職員がたたみかけています。
 
私には納得できません。Q君はダウン症の子どもさんです。ダウン症の子どもさんは一般に動きが慎重です。そしてとても丁寧です。脱いだズホンは洗濯に出すと知っていても、丁寧に畳まなければいられません。だから慌てて脱ぐということはない筈です。
 
入浴が終了し、その後片付けをしている時に、A職員と一緒にいた別の職員に訊いてみました。すると、Q君はいつものようにゆっくりと服を脱いでいたとのことです。それを見たA職員が「何をグズグスしてるの、早くしなさい!」と叱りつけたとのことです。恐ろしいA職員に叱られたQ君は、慌ててズボンを脱ごうとして転んだようです。なのに「慌ててするから転ぶのよ!」と言ったとのことでした。
 
「早くしろ」と言われて失敗すると、今度は「早くするからだ」と叱られる。こんな理不尽な話はありません。子どもは、どちらに従ったら良いのか混乱するばかりです。
 
1人の職員の言うことに矛盾がある。残念ながら現場には似たような話はたくさんあります。さらには、複数の職員が言うことに矛盾することもあります。
 
ある時、服の脱ぎ方で職員の意見が二つに分かれて大騒ぎしたことがありました。A職員は上着から脱ぐものだと主張し、B職員はズボンから脱ぐものだと主張して、両者とも譲らなかったのです。結果、A職員は上着から脱がせ、B職員はズボンから脱がせます。子どもはどうしたら良いのか混乱しています。要領の良い子どもは、A職員がいる時は上着から、B職員がいる時はズボンから脱いでいます。たいしたものです。
 
さて、どうしたら良いのでしょう?ここで私が「いや、靴下から脱ぐべきだ!」などと言い出したら収拾がつかなくなります。こういう時は先進施設の例に従うのが最良です。早速、他の施設での様子を調べました。
 
良い例がありました。その施設では、入浴や着脱だけでなく、歯磨きから洗面、布団や衣類の畳み方まですべて統一していました。そして、それが綺麗なマニュアルとして製本されていました。

知的障害、特に自閉症の子どもには、構造化と言われる統一した方法が理解されやすいのです。行動予測不安も解消されます。さっそく導入したのは言うまでもありません。これで子どもたちは迷わなくて済みます。
 
ところで、言うことに矛盾があるA職員にも、彼女のためだけの行動マニュアルがあると良いかもしれませんね。(笑)

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今月のイチ押し



第5話 笑って済まされない施設の常識


わー、もう駄目もれる!息子が通っていた高校の玄関に、大きな垂れ幕が下がっていました。そこには「学校の常識は社会の非常識」と書かれてありました。学校の中では通用しても、社会に出たら通用しないよ、と生徒を戒めているのだそうです。私には、生徒よりも教職員の方こそ非常識に見えて仕方がなかったことを覚えています。
 
さて、年長の子どもを2人連れて町へ映画を見に行ったことがあります。人手の足りない施設では、なかなか外の空気を吸わせてあげられません。そこで月に一度は外出させてあげようと、職員が何人かの子どもを連れて外出していました。
 
なにせ月に一度の外出ですから子どもは緊張します。映画が始まってしばらくすると、R君がモジモジし始めました。すぐにトイレだと気づいた私はR君をトイレに誘います。施設を出る時から我慢していたのか、トイレに向かう廊下で既にチンチンを出して握りしめています。
 
「まずい!」と思ったのも束の間、R君は激しく放尿しながら廊下を走って行きます。売店の前を通り過ぎる時の店員の顔を、私は忘れることができません。完全に声を失ってR君の後を目で追っていました。映画館の長い廊下、そこに一本のおしっこの筋がトイレまで続いています。私は店員に深く深く謝り、モップを貸していただいて一生懸命掃除して、消毒までしたのは言うまでもありません。
 
実はR君、施設でも同様なことが何度もあったのです。緊張するとオシッコに行きたくなるのは誰しもあることです。しかし、R君の場合は幼児のようにギリギリまで我慢してしまうのです。そして、いつも決まってトイレのはるか手前からチンチンを出して、握りしめながら走っていきます。そして、間に合わないと途中で放尿してしまうのです。私たちはそれを見て「ああ、またやっちゃった」と苦笑いするわけです。
 
ここで問題なのは、苦笑いをして済ましてしまう職員です。施設の中では苦笑いで済むことでも、社会では済まされないと言うことです。先の映画館での一件も、公衆の面前でチンチンを露見することは明らかに犯罪です。また、トイレでない公共の場で放尿するのも犯罪です。
 
施設の中では許されると言うこと、これは甘えだと思います。私たちは子どもたちを自立して社会に送り出す責任があります。そのためには、社会で何が必要かを教えてあげる義務があります。それを怠ったから今回の事件が起きたのです。
 
主犯は職員である私であり、子どもは被害者です。もちろん映画館も被害者ですね。そして、「ああ、やっぱり障害者は駄目だなあ」などと店員さんが思ったとしたら、私は職員としてあきらかに失格です。
 
施設の中では子ども同士、いろいろな事件が起きます。おもちゃの取り合いから、つかみ合いの喧嘩。ガラスを割ったり、物を壊したり。これでもかと事件の連続です。次第に職員も慢性化していきます。すると先のように苦笑いで済ましてしまうようになるのです。
 
これは大変危険なことです。子どもたちは何をしても許されると勘違いしてしまいます。そして、社会に出た時、大変なことになるのです。その責任は職員にあります!
 
映画が終わって外出から帰りました。私はすぐに職員を集めて今日の出来事を報告しました。すると、みんな腹を抱えて大笑いです。A職員は涙を流して笑っています。笑い話ではないのです。真剣に考えてほしかったのに、私の気持ちは暗くなる一方です。「施設の常識は社会の非常識」わたしも大きな垂れ幕を書かなければいけないようです。(涙)

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今月のイチ押し



第6話 こだわりにこだわると深みにはまる


閉めるの!こだわりについては何度も書きました。こだわりは知的障害、特に自閉症の子どもたちに多く見られる特異な症状です。それは一つの行動や事物に強く固執することです。それが私たちには一見無意味な行動に映るので誤解されてしまうのです。
 
食堂に入る前に必ず廊下で1回転しなければいられない。同じ物が常に同じ所にないと気が済まない。靴下の色は赤でなければ履かない。常にお菓子の空き袋を手にしていないといられない。常にどこかに触っていないといられない。決められた時間に決められたことをしないといられない。
 
なぜこだわるのでしょうか?行動予測不安というものがあります。自分が次に何をすれば良いのか、何を求められているのかがわからないと不安になり、自分が理解できる行動すなわちこだわりに走るのだと私は思っています。
 
S君も変わったこだわりの持ち主です。彼のこだわりは「開ければ閉める、閉めれば開ける」ことです。暑いからと職員が窓を開けると「閉めるの!」と言って閉めてしまいます。また、寒いからと閉めると「開けるの!」と言って開けてしまうのです。
 
A職員が、掃除をしようと子どもたちの部屋の窓を一つ一つ開けていきます。その後をS君が着いて来て、窓を一つ一つ閉めていきます。全部の窓を開けたと思っていたA職員は、すべての窓が閉まっているのを見て悲鳴を挙げます。そしてS君を追いかけます。A職員のイライラは募る一方です。
 
T君は職員室のドアが開いているのが嫌で仕方ありません。職員室は職員が中にいる時は開けておくのが職員の習慣です。なぜなら、外にいる子どもたちの様子が音でわかるように、常に耳を澄ましているからです。逆に職員室が空になる時は必ず閉めて施錠します。なぜなら、職員室にはハサミなどの危険な物や、お薬やお金などがたくさんあるからです。誰もいない職員室から子どもたちが持って行ったり、誤って飲み込まないように施錠します。
 
ですからドアが閉まっている時は問題ないのですが、職員が中に入ってドアを開けたままにすると大変です。さっそくT君が飛んできてドアを閉めるのです。その度にA職員は立ち上がり「コラァ!」と叫んで追い払ってからドアを開けます。するとまたT君が飛んできて閉めます。A職員の顔は震えています。もう我慢がならないといった様子です。
 
一方、B職員はドアを閉められても気にしません。それならばと職員室の窓を開けます。すると今度は先のS君が来て「開けたら閉めるの」と言って窓を閉めてしまいます。するとB職員は苦笑いしながら椅子を持って来てドアを開けます。そしてドアが閉まらない位置に椅子を置いて座ってしまいました。これには子どもも手が出せません。遠巻きにしてB職員の顔を恨めしそうに眺めているだけです。B職員は得意そうに笑っています。
 
みなさんはA職員とB職員の違いがおわかりでしょうか?A職員は子どものこだわりにこだわってしまっているのです。これは一種の病気です。一度こだわってしまうと、職員と言えども止まらなくなるのです。常に子どものこだわりが気になって仕方がなくなるのです。これこそA職員のこだわりです。
 
一方のB職員は子どものこだわりにはこだわりません。それをしなければいられないと言うこだわりは、本人にとっては辛いものです。こだわっている子どもの気持ちが良くわかるB職員は、そのこだわりを上手に逸らしているのです。
 
子どものこだわりに親や職員がこだわると、子どものこだわりは更に強くなります。A職員は子どものこだわりを更に強くしているだけです。A職員の行動は墓穴を掘っているだけです。困ったものです。(苦笑)

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今月のイチ押し



第7話 怒らないと言って怒るのは嘘つき


怒らないから言ってごらん!知的障害の子どもたちは素直で正直です。嘘をつけず、自分の気持ちをストレートに表現します。ですから、太った友達に「デブ」とはっきり言ってしまい、トラブルになることもあります。これは困ったことですが、悪気はありません。
 
こう言うと「そんな筈はない。うちの子は嘘ばかりついている」と憤慨される親御さんがいます。それは子どもが悪いのではなく、周りの大人たちが原因なのです。
 
おやつの時間にU君が泣いています。A職員が気づき「どうしたの?」と訊きます。U君は言葉がありませんから泣きながらX君を指差します。A職員は合点したかのようにX君の側に行き「何をしたの?怒らないから言ってごらん」と優しく声を掛けます。
 
怒らないと言われて安心したX君は、U君が持っていた飴玉を盗ったことを言いました。するとA職員は「何で盗ったの!それはあなたが悪いでしょ!U君にあやまりなさい!」と、それはそれは激しい剣幕でX君を叱り飛ばしました。X君も怖くなって一気に泣き出しました。A職員はたたみかけます。「泣いても駄目!悪いことは悪いんだから!あやまりなさい!」と。
 
「まあ、まあ、まあ、そんなに怒らなくても」と他の職員が仲裁に入っても「悪いことは悪いんだから、はっきり指導すべきです!」と反論します。これには一理あるわけで、誰もそれ以上、口をはさめません。
 
知的障害の子どもたちの中には、自分の気持ちに素直になりすぎて、このように欲しいものがあると手を出してしまう子どもも確かにいます。そのため、普段から良いことと良くないことは教えています。それでも「つい」ということがあります。だからトラブルが起こらないように事前に対処しておくことが重要です。
 
さて、X君は翌日も同じことをしてしまいました。またしてもA職員から「怒らないから」と言われて本当のことを言いました。そして「昨日も同じことをしたでしょう!まだ分からないの!」と激しく叱られました。X君は泣きながらA職員の顔をにらみつけています。なにやら不安なことが起こりそうです。
 
数日後、X君はまた同じことをしてA職員に呼ばれました。今度もまた「怒らないから」と言われましたが、X君は「僕、何もしてないよ」と言いました。何度訊かれても「僕、何もしてないよ」の一点張りです。これにはA職員も怒れません。X君は無事(?)放免されました。
 
後でわかったことですが、あの時、X君は友達のお菓子を盗っていました。それなのに「僕、何もしてないよ」と嘘をついたのです。嘘をついたためにA職員に叱られることもなく、友達のお菓子を易々と手に入れることができたのです。X君は嘘つきになったのです。これは由々しき事態です。皆さんはどう思われますか?何が良くて、何が悪かったのでしょう?
 
友達のお菓子を盗ることは絶対に良くないことです。それを指摘して指導しようとするA職員の行動は良いことです。ただ、その方法に問題がありました。結果的にA職員は1人の嘘つきを誕生させてしまったからです。

 「怒らないから」と言って子どもにしゃべらせてから怒り出す。これは多くの親御さんや職員がついついしてしまうことです。この方法だと子どもたちは善悪の反省をするよりも、まずその場から逃げ出すことを考えてしまいます。ひたすら言い訳ばかりする最近の政治家や社長さんと一緒です。
 
そのことをA職員に気づいてもらうにはどうしたら良いのでしょう。実は私にも良くわかりません。ただただ、祈るばかりです(ため息)

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第8話 本当は自分のためのナントカ療法


新しい勉強よその昔、養護学校がまだ義務化される前は、子どもたちの療育は施設が担っていました。療育とは治療教育の略で、知的障害を治しつつ育てることです。知的障害は一人一人個性があって千差万別です。ですから小学校のように同じ教科書で一斉にできるものではありません。一人一人に合ったプログラムを考えなければなりません。
 
療育にはナントカ療法がつきものです。金の壺療法とか足の裏療法とか言うあやしげなものではなく、世界の学会で認められた科学的な療法です。
 
心に働きかけるものとして心理療法、音楽療法、箱庭療法など。感覚・運動への働きかけとして感覚療法、運動療法、ムーブメントなど。行動への働きかけとして行動療法、オペラントなど。その他にサイン言語、モンテッソリー、ポーテージなど、それはそれはたくさんの療法があります。
 
科学は進歩するものです。だから、一時流行るとすぐにすたれてしまう療法もたくさんありました。その中で最近注目されているのがTEACCH(ティーチ)ですね。
 
こうしたナントカ療法が次々と登場してきたのが1970〜1980年代でした。私たち施設の職員は次々と新しい療法を見つけては、争うようにして学んだものです。なぜなら、現場でこれらの新しい療法を説くことが一種のスティタスだったからです。1979年に養護学校が義務化されると、それに対抗する心理も働いたようです。「厚生省と文部省の意地の張り合い」とも言われました。
 
私自身もいくつかの療法を学んで現場で説きました。まだ誰も知らない療法を先駆けて説けることに誇りを持っていたものです。ですが、次々と他の職員が新しい療法を持ち込んでくると、現場に混乱が生じてきたのです。誰もが自分の学んだ療法の有効性を主張し、他の療法と競い合うようになったのです。現場では、他の職員の話を聞こうとせず「あれはもう古い!」などと陰で批判し合う姿が見られました。そして職員が変わるたびに療法も変更していきます。そのたびに振り回されるのは子どもたちです。変化や変更が苦手な知的障害の子どもたちはパニックです。
 
なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか?いろいろ考えられますが、1つには職員自身の自信の無さでしょう。自分自身に療育に対する確たる信念が無いから、ナントカ療法に頼ろうとしたのではないでしょうか?ナントカ療法を説いていれば、とりあえずは「私はプロだ!」と安心できたのではないでしょうか?
 
ナントカ療法を学ぶことは大切です。ですが、そのナントカ療法を学ぶことによって安住してしまう職員が実に多かったのです。他の療法に対する向学心は薄れ、ひたすら自分の学んだ療法にしがみついてしまうのです。今では、私もその1人だったと告白できます。
 
現在では、ナントカ療法の争いは見られなくなりました。それは養護学校や専門機関が充実してきたからです。さらには障害者福祉に対する考え方が変わってきて、療育よりも生活の質の向上が施設に求められるようになってきたからです。「施設はもう学校ではない。ホテルだ!」と揶揄されるゆえんです。
 
ですが、それはそれで良かったと私は思っています。現場の職員も落ち着きを取り戻し、自分が何をすべきなのか確たる目標が見えてきたからです。
 
ところで例のA職員は、今でもちょっとかじり読みしてきた民間療法を得意になって説いています。今に何百万円もする壺を持って来て「これを拝めば治る!」などと言い出すかもしれませんね。どうしましょう?(瞑目)

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第9話 誉めずに叱るだけだと保身に走る


ホラホラ、言うことをきくの!飴と鞭と言う言葉があります。時には誉め、時には叱って、上手に人をコントロールすることです。組織のリーダー格が良くやる手法ですね。あまり良い言葉ではありませんが、正しく使えば確かに人は育ちます。

私が中学生の頃、私たち生徒を言葉の鞭で叩いてばかりいる教師がいました。「先生の言うことが聴けないのなら、親を呼んで来い!」と私自身、何度言われたことか。そのため、私達はいつも怯えていたことを覚えています。子どもたちも私達と同じです。職員に叱られてばかりいたのでは嫌になってきます。
 
第7話でも紹介したように、子どもたちは善悪の反省をするよりも、まずその場から逃げ出すことを考えてしまうかもしれません。そのために嘘をつくようになったら大変なことです。実は、中学生だった私たちはうそをつくようになってしまいました。先生には本当のことは言わずに、自分に都合の良いことばかり言うようになりました。保身に走ってしまうのです。

逆に誉めてばかりいて叱らないのも駄目ですね。「福祉は受容だぁ!」と叫んで、何でもかんでも受け入れて誉めて許すベテラン職員がいましたが、この職員の前では子どもたちは我がままになりました。
 
優しさと怖さと言う言葉があります。ふだん優しい人が怒ると大変怖くて、本当に自分は悪いことをしたと心から反省してしまいます。逆に、ふだん怒ってばかりいる人が優しく誉めてくれると、ちゃんと見ていてくれていたのだと大変嬉しい気持ちになるということです。
 
私は在職中の30年間、この優しさと怖さを上手に使い分けていたと自惚れていました。普段は怖くても、子どもが何か良いことをすると皆の前で心から誉めました。子どもも私に誉められて嬉しそうでした。逆に職員が何か馬鹿なことをしたら、普段は優しくても心の底から叱りました。人知れず陰で何人の職員をへこませたことでしょう。そんな自分の姿勢に私は酔っていたようです。
 
ある時こんな話を聞きました。「理由も言わずに叱るのは間違い。叱る時は叱った理由を正しく伝えると共に、その時の自分の気持ちを伝えることが大切。そして、わかってくれたら良く誉めること。」

そしてある時「そんなことをすると貴方が怪我をして痛い思いをするのよ。そうなったらお母さんは悲しくて泣いちゃうよ!そう、わかってくれたの?お母さんとても嬉しいわ!」と子どもを叱って誉めている場面を目撃しました。

私は心から感動しました。叱る理由をハッキリ伝え、その時の悲しい気持ちを見事に伝えた叱り方でした。そして最後に心から誉めていました。
 
目からウロコですね。叱るということの難しさ、大切さを本当に知らされました。30年前にこのことに気づいていれば、私はもっと良い職員になれただろうと後悔しています。

叱ってばかりいる中学時代の教師が、後日こんなことを若手教員に言ったそうです。「私自身、こうして育てられたんだ。わかってはいるけれど、ほかのやり方ができないんだ」と。だとすれば、この教師に育てられた若手の教員も、いずれは似たような人物になるのでしょうか。恐ろしくて悲しいことですね。
 
叱られて素直に「叱ってくれてありがとう」と言われるような叱り上手、叱り名人になりたいものです。「駄目!」としか言わないA職員は叱り下手の最たるものですね。叱り上手は叱られ上手とも言われます。A職員を叱ると「なんで私が叱られなければならないのよ!」と逆に叱り返してくるのですから、はてさて困ったものです。(合掌)

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第10話 同僚にうとまれてもなんのその


ねえ、待って〜!ある時Z君が失便しました。それに気づいた若い職員が慌ててZ君をシャワー室に誘導します。周りにいた他の若い職員も着替えを取りに走ったり、廊下に落ちている便をトイレットペーパーで拭き取って消毒したりしています。てんやわんやの大騒ぎです。ところが、A職員は知らぬ顔で職員室に戻ってお茶を飲んでいます。なぜ手伝わないのか訊くと「気がついた人が後始末すればいいでしょ〜ぉ」の一言です。
 
施設は基本的に担当制です。私のいた施設では1人の職員が4〜5人の利用者の担当になります。支援計画の作成から保護者との連絡、本人の生活支援はもとより金銭の管理まで、担当者の責任で行なわれます。しかし、職員は不規則なローテーション勤務で、いつもいるとは限りません。担当者が非番でいない時には、同じユニットの他の職員が皆でフォローします。ところがA職員は「担当者がいないから私は知らない!」と言って、知らぬ顔です。
 
ある時、利用者が「缶コーヒーが買いたい」と言った時、「私は担当じゃないから」と言ってA職員は拒否しました。あいにく担当の職員は忌引きで数日間お休みです。つまり缶コーヒーも数日間お預けになるわけです。これでは可哀想と、別の若い職員が自腹で缶コーヒーを買ってあげました。するとA職員は「勝手なことしないの!」と言って缶コーヒーを取り上げてしまったのです。挙句に「あんたは担当ではないでしょ!」と若い職員を叱り飛ばす始末です。
 
こんなこともありました。福祉現場で最もしてはならないことの1つに誤薬があります。これは、他の人が飲むべき薬を、誤って違う人に飲ませてしまう大事件です。施設長に言わせれば「業務上過失傷害だぁ!」となります。そのため、利用者にお薬を飲んでもらう時には、職員が2人でチームを組んで確認しながら飲んでもらいます。それでも「誤薬」は起きてしまいます。すると「誤薬」した職員と一緒に、チームを組んだもう1人の職員も連帯責任で処分されます。
 
すると、A職員は「他の職員の道連れで処分されるのは嫌!」と言って、チームを組むことを拒否しました。チームを組むことは施設長の厳命ですし、誰もが納得できるシステムです。何よりも誤薬を防止することが大事だからです。それでもA職員は、自分に責が及ぶことを嫌がって拒否してしまいました。あまりの頑固さなので、誰も説得できません。
 
幸いA職員が在職中には誤薬は起きませんでしたが、なんとも不愉快な思いをしたのは私だけではありません。ユニットの職員のチームワークはガタガタです。こんなことが続くと「自分さえ無事なら良い」と言う風潮が出てきます。保身のみが前面に出てきてしまいます。
 
また、同僚の仕事ぶりを批判ばかりする職員がいました。自分のことは棚に上げて、辛らつな言葉ばかりを投げかけるのです。「何よ、そのやり方は変だと思わないの!」とか「何で、そんなことするのよ!」とか遠慮なく批判します。批判は同僚の仕事ぶりだけでなく、上司にも及びます。同僚にはポンポン言えても、さすがに上司には直接言えません。そこで、この職員は「あなた、言ってきなさいよ!」と他の職員に強要します。これには皆、閉口です。ますます、側から離れていきます。
 
はてさて、ある時のことです。A職員に、ある男子職員が仕事を依頼しました。すると「私は女よ。女の私にそんな仕事させるの?それは男の仕事でしょう?」私は思わず「だったら男と同じ給料もらうのは止めろ!」と言ってしまいました。すると「あっ、それセクハラ!」とA職員は激怒しました。本当にセクハラでしょうか?私には、A職員の方が逆セクハラのような気がするのですが?(怒)


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